工房では
急ピッチにて五月人形の制作をしております。
特に今季(昨年より)は
素材不足等といった状況が続き
材料がなかなか揃わないという状態に陥ってますので
私どもの様な国産にこだわる製造元では品物の完成が遅れている状態です。。。
写真は
小札(こざね)という兜や鎧では
基本中の基本の材料で兜でいう錣(しころ)と吹き返し
が一体型になった共吹き錣(ともぶきしころ)または共錣(ともじころ)と呼びます。
そして
金色の小札(こざね)なので
金小札(きんこざね)と呼びます。
昔は
金箔を貼った「金箔押し小札」
という高価なものもあり弊社でも多用しましたが
現在ではあまり見かけなくなり時折見かける安価な金箔押し小札は
「本物?この作者は誰?」といった品物があるように感じますが。
本物の金箔押し小札をご存知の方であれば
まず見るだけでスルーされていく事でしょう。
この小札をアップで見ると
この様に小さな山と無数の穴が開いています。
これは全て
某国製以外は全て作者により異なる部分のひとつで
全体の曲がりの角度や山の大きさ(幅)や穴の数や大きさ等
使用する兜鉢や兜鉢の大きさ(何号)によっても全て異なりますので。
よくご覧いただくと
穴の大きさが上の三列と下の二列では
微妙に違うのがお分かりになるかと思いますが
これも全て意味があっての事で少しでもバランスが狂うと全てが台無しになってしまいます。
そして
こちらは黒小札(くろこざね)で
大きさや仕様は上の金小札と全く同じです。
やはり同じように
細かく山と穴があり
これも全て計算されバランスがとられたもの。
金と黒では
全く表情が異なりますので
それぞれの兜や鎧で使い分けていきます。
そして基本的に
写真の様に三段になりますが
本体が大きくなったり高価なものになると四段にする事もありますね。
中には二段のものもありますが
もちろん三段や四段の方が手が掛かっていますので高価な品になってきます。
この金や黒の鍍金や塗装ですが
これも腕の良い職人でなければなりません。
色にムラができたり
色が濃かったり薄かったり
酷いものになると塗装の下にゴミが入ってしまっている事もありますので。
そうした事から
腕の良い職人さんは必要不可欠で
私達だけでなく表に出てこない縁の下の力持ち的存在の職人さんで成り立つ訳です。
あと
現在は素材は金属が主流ですが
安価の素材を使用していると極薄で
ペラペラな小札も見かけますので注意が必要ですね。
安価なプラスチック製であったりもして
けれど値段はそれなりにするという状況で
極端に派手な塗装であったり装飾であったりするものは
先ず一旦立ち止まってよくご覧いただく事が必要かと。
そうした事から
素人では見分けがつきにくい部分でもありますので
商品云々よりも先ずは信頼のおけるお店選びが重要ですね。
そして
こちらが威(おどし)という
専用の紐で編み上げた状態。
この紐も
兜の大きさが変われば
小札の大きさも変わり山の大きさ
穴の大きさも変わるので紐の太さも変えていきます。
この時の紐も
発色の良し悪しや
素材の良し悪しがありますので。
金小札
山吹糸威。
黒小札
紺糸威。
これら
全て手で編む(威す)訳ですから
気の遠くなる様な作業ですね。
この時も
平らな平紐ですので
先端を尖らせる(針)作りから始まります。
これも
熟練の技が必要で
針づくりが上手く出来ていないと
小さな穴に紐が通らず紐が引っかかって使い物にならなくなったり
無駄な時間ばかり過ぎてしまうので下準備の大切さがよく分かる訳で。
全ての職人さんが
良い仕事をしなければ
良い品は完成しません。
手を抜いていれば分かりますし
父もよく言う「やっつけ仕事」はお客様にも分かりますので。
若い頃
これをやっていきなり
「馬鹿野郎!やめちまえ!!」と父に蹴とばされた事がありまして・・・
そして
吹き返し部分の
表板を制作し糊で貼り付けて
乾くまで洗濯ばさみで留めます。
この
吹き返しの表板というものですが
もちろん全て手仕事で制作なのですが
これはまた後日ご紹介という事で。
この時の
糊仕事も重要で
母には「この仕事は糊仕事ができて一人前」
とも言われております。
糊と
特製の竹へら一本で行い
糊が厚すぎても薄すぎても駄目で繊細な作業。
こうして書くと
兜ひとつ制作するにも
膨大な時間と手間が掛かることがお分かりいただけるかと思いますが
製造元ゆえに日々こうした事を普通にしている訳でして。
その製造の苦労を知っているので
お雛様も五月人形も含め安さを売りにしている所は
売り文句のウンチクだけは立派で仕事を知らないなと思う訳です。
こうした
携わる職人さんの苦労を知っていれば
わざわざ価値を下げる様な売り方はしません。
価値を下げてしまえば
職人さんは辞めてしまいますので。
そうはいっても
お客様にとってはその判断の仕方が難しいところですが
やはり品物選びよりも先ずはお店選びの方が重要かと。そして
作札(立札)には「〇〇作」などと書かれている場合が多いのですが
「この作者は誰でどういった人ですか?」とお聞きになることを強くおススメします。お客様の
可愛いお子様やお孫様の為にもと
日々挫折や失敗を繰り返しながらも心を込めて制作しております。
父
十六代目より。
今季お問い合わせご来店予約が非常に多い
五月人形の展示販売ですが
五月人形の展示販売は3月2日より
浜松市西区舞阪町弁天島3436 粹月樓(すいげつろう) 4階ギャラリーより移転しまして
磐田市富士見町1-11-16 人形の秀月
にて行います。五月人形をご購入ご検討中のお客様は
今しばらくお待ちくださいませ。
詳細は
後日ホームページ・ブログ等にて
ご案内させていただきますので。
伝えたい日本の心 美しい伝統
十七代目 人形の秀月
浜松・磐田・袋井・森町・掛川・菊川・御前崎・静岡で羽子板・破魔弓・雛人形・五月人形・鎧・兜・甲冑・鯉のぼり・市松人形なら・・・
十六代目 人形の秀月【店舗住所】 静岡県磐田市富士見町1-11-16
【電話】
0538-31-7864
【営業時間】10:00~17:00
【定休日】5月~11月土・日・祝日
11月~5月毎週水曜日・年末年始等
【駐車場】店舗前に完備
【取扱いカード】VISA、JCB、MASTER、AMEX、DINERS
■オンラインストア■当店へのアクセス■当店のホームページ■インスタグラム ☆浜松・浜北・磐田・袋井・森町・掛川・菊川・豊橋
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☆雛人形・市松人形・五月人形・鯉のぼり・鎧・兜・甲冑・駿河塗下駄等。
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